第一話  全ての始まりの地にて

 

2195年  火星

 この日火星は一瞬にして死の星に変わってしまった。

それも数時間前より攻め込んできた謎の大群のせいである。

火星駐留軍は全戦力をもってこれを止めにかかったのだが、ビーム兵器はおろか、

実弾兵器もほぼ無効化してしまう敵戦艦のフィールドや何千何万と送り込まれてくる機動兵器

(後にジョロやバッタと呼ばれる)によって退却を余儀なくされていた。

 ここ、ユートピアコロニーも大量の敵に攻め込まれていたのだが、火星最強と言われる機動兵器部隊、

第7先行試作型エステバリス部隊によって民間人の全滅は免れていた。しかしそれももう限界だった。

エステパリス部隊も隊長であるテンカワ アキト以外全滅。

そのアキトの搭乗機である先行試作型エステバリスカスタムも限界にきていたのだ。

「アドニス、バッテリーはどのくらいもつ!?

アドニスと呼ばれたAIが答える。

「マスター、あと5分しかもちません!

「それだけあれば十分だ、行くぞ!

アキトはエステのライフルの残弾を確かめた後ライフルを乱射しながら敵へ向かって突っ込んでいった。

ライフルの弾が切れると、そのライフルを敵の放ったミサイルへ向かって投げつけた。

そのミサイルの爆発によって数機の敵がまきこまれたため一瞬敵の統率が乱れたのをアキトは見逃さなかった。

リミッターを解除したエステがイミディエットナイフを手に突撃していった。

一番手前にいる敵を、真っ二つに切り裂くようにして破壊。

振り向きざまにイミディエットナイフを投げつけ、背後の敵を撃破。

再度ナイフを取り出し、両手に構えると勢いよく飛び出す。

両手を広げるようにして突き出し、2機の敵の中枢を一突きした。

火花を散らす敵を固まっていた敵目掛けて思い切り投げる。

味方の爆破つに巻き込まれ
次々と敵が爆発してゆく。

その爆発が引いてきたのを見計らって、すさまじい勢いで突撃。

「これで、ラストォォー!!

そう言って最後の敵を倒し終えた時にはバッテリーは残り1分30秒を示していた。

「お疲れ様です、マスター。」

「ああ、今度ばかりは疲れたな。」

「これからどうします?」

アドニスがアキトに問いかけた

「そうだな、バッテリーがもうない。予備のものも全て使ってしまったし、

となるとこのエステはどうにかしないといけないな。」

「自爆させますか?」

悲しそうに問いかけるアドニスにアキトがやさしく答える。

「いや、それはだめだ。爆発音で敵に気づかれる。それになによりお前が消えてしまうだろ?

どこかに隠すさ。」

そう言うと16歳くらいの少女のホログラフが現れ、コックピットの中をうれしそうに走り回っていた。

「そうと決まれば早くどこかに隠すぞ。バッテリーがもたない。」

「はい!

アキトがそういうと少女は笑みを浮かべてホログラフを消した。

なるべくバッテリーを消費しないように、敵に見つからないように慎重に移動しながら隠し場所を探していたが、

それはすぐに見つかることになった。ユートピアコロニーのすぐそばである。

その後エステは隠し終えたところでバッテリーが切れる。

手動でコックピットのハッチを開け、取り出した銃を構えた後、エステから降りた。

「必ず迎えに来るから待っていてくれ。」

そう言うと、バッテリーの切れたはずのエステの目が、一瞬光ったように見えた。

 

ユートピアコロニー  地下シェルター

地下シェルターは、彼らが今まで戦っていたため人々はおびえてはいたものの、意外にもかなりの人が生き残っていた。

誰かが配達の途中で置いて行ったと思われるリンゴを1個もって地下シェルター内を歩いていると、

途中でアキトのもっているリンゴを物欲しげな目で見つめている少女を見つけた

「リンゴ食べるかい?」

そう言うと少女はうれしそうにリンゴを受け取った。

「お兄ちゃん、ありがとう!」

少女はそう言ってリンゴを食べ始めた。

しばらくその光景を見ていると少女の母親らしき人がやってきた。

「わざわざすいません。」

少女の母親は丁寧にそう言った。

「いいんですよ、ここに来る途中でかっぱらってきたものですから。」

しばらく話しているとリンゴを食べ終わった少女が話しかけてきた

「お兄ちゃん名前何って言うの?」

「テンカワ、アキトだよ。」

「私アイっていうの、お兄ちゃん私とデートしよ!」

「デート!?」

予想外の言葉に思わず聞き返してしまった。

「そう、デート。やっぱりだめ?」

「そ、そうだねアイちゃん。ここから出られたらデートしようか。」

「うん!」

少女がそう言って微笑んだ直後、アキトの後ろから悲鳴が聞こえた。

腰にさしていた銃を持ち、後ろを振り向くと、一機のバッタが次々と人々を襲っている光景が目に入った。

アキトはバッタに激しい怒りを覚えながらも、感情を押さえ込み冷静に銃をバッタの方へ向け、引き金を引く。

弾はバッタの急所(センサーなど)を的確に射抜き、バッタは煙を吐き出しながらその機能を停止した。

「お兄ちゃんすごーい!」

「そんなことはないよ。」

その迅速な対応にもかかわらず、民間人に少なからず被害が及んでいる。

アキトは、自分の無力さを悔やみながらも、少女の前でそれを出さまいと必死に隠していた。

少女とそんな会話をしていると、誰かの声が後ろのほうから聞こえてくる。

「扉が開くぞ!」

その声は外へ続く扉が開いたことを知らせるものだった。

先ほどの襲撃を受けて、ここから脱出するために開け始めたのだろう。

このシェルター内は敵に襲われた人々にとって危険地帯以外の何ものでもなかったのだ。

「やめろ、開けるな、開けるんじゃない!」

彼にはこれが罠だとわかっていた。人々の恐怖をあおり、外へおびき寄せるための罠だと。

もはやその叫びも遅かった。

扉の向こうには数十体にもおよぶ敵機動兵器の群れだった。

敵のセンサーが一瞬光ったかと思うと、次の瞬間いっせいに攻撃を始め、次々と人々を殺していった。

アキトはその光景を目撃して冷静でいられるはずもなかった。

「ママ、目を開けてよ、ママぁ!」

呆然と立ち尽くすアキト、そして、眼前で血を吹き、確実に死んでいるであろう少女の母親の死体。

そして、それにしがみつき、必死に呼びかける少女。

次々と死んでゆく人々・・・。

「うぁーー!!」

そんな地獄のような光景を、彼が耐えられるはずも無かった

アキトがそう叫ぶと、胸の辺りにつけていたネックレスが光り、アキトと少女を包み込んむ。

そこで彼は気を失い、次の瞬間には2人とも火星から姿を消していた。

 

第一話end

 

 

あとがき

またまた手抜きで申し訳ございません。

前回の
あとがきでも言ったとので、細かいところは省略しますが・・・。

改定前に比べて、戦闘シーンを少々追加したのと、細かいところを少し変えてみました。

すこしはよい作品になっているのでないかな、と思っております。

メールでも、掲示板でもいいので感想ください。待ってます。