ごくありふれた一日
「はぁー・・・。」
「どうしたんだよハーリー。ため息なんかついて。」
「サブロウタさん。いえ・・・。」
「ひょっとして・・・。」
「ひょっとして?」
「・・・あの日か?」
「・・・・・・・・・ぼ・・・僕は男です!!!!」
「冗談だよ、冗談。ついみんなの気持ちを代弁してみたくなってな。」
「どういう意味ですかっ!!?」
「それはともかく、どうしたんだよ?悩み事なんて話しちまえば案外簡単に解決するもんだぜ?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「それとも人には言えないような悩みなのか?それなら無理に詮索はしないけどな。」
「じ、実は・・・。」
「ハーリー君。」
「あっ艦長。」
「今度来られる艦長候補の方の資料なんですが・・・。」
「はい。」
「大学時代以前の経歴の未記入部分はどうしたんですか?」
「あ、それなんですけど・・・僕も変に思ったんでネルガルの本社のほうに問い合わせてみたんです。
そしたら『こちらでもわからない。連合側に問い合わせてみる。』と言う事なので、取り合えず届いた資料だけでも艦長に報告しておこうと思って。」
「なるほど・・・そうでしたか。」
「すみません・・・その事も付け加えておけばよかったですね。」
「いえ。わざわざ本社にも問い合わせてくれましたし、ハーリー君の対応はとても良かったですよ。」
「あ、ありがとうございます♪」
「それでは追記があればまた教えてください。」
「はい♪」
「・・・あ、俺腹減ってきたし、食堂行って来るわ。」
「ま、待ってくださいよっ!!」
「だーれがお前ののろけ話を聞きたいっていったんだよ!悩みじゃなかったのか?」
「こ、こっからなんですよー!(汗)」
「ちぇ・・・無駄なトコは省けよ?」
「い、いやですから・・・その時丁度お昼ぐらいの時間だったんですよ。だから思い切って艦長を・・・その、お昼に誘ったんです・・・・。」
「おお、ハーリーにしちゃあ上出来だ。それで?」
「そしたら・・・。」
「お昼・・・ですか?」
「あ、艦長もう済ませてしまいましたか?だ、だったらいいんです。(汗)」
「いえ、まだですけど。」
「そ、それじゃあ食堂行きませんか?」
「そうですね。丁度いい時間ですし・・・そうしましょう。」
「は、はい!!」
「おお!やったなハーリー!・・・・の割にはへこんでんなぁ。なんかポカでもやらかしたのか?」
「ちがうんです。そこまではよかったんですけど・・・。」
「いらっしゃい2人とも。ご注文はお決まりですか?」
「はい。私は醤油ラーメンをお願いします。」
「あ、僕は・・・Aランチを。」
「かしこまりました。」
「艦長はラーメンがお好きなんですね。この間も食べてましたし・・・。」
「そう、ですね。ラーメンは・・・好きです。」
「そうなんですか。僕は・・・」
「はい、ラーメンとAランチ、お待ちどうさまぁ!!」
「どうも。」
「ありがとうございます。」
「それじゃあいただきましょう。」
「あ、いただきます。」
「僕はラーメンも好きですけど、火星丼も好きなんですよ。」
「そうなんですか。ずるずる。」
「はい。ホウメイさんの料理はどんな料理でもおいしいですからいいですよね。」
「そうですね。ずるずる。」
「艦長はよくお・・・。」
「ずるずる。あ、今なにかいいましたか?」
「あ、いえ・・・。」
「そうですか。ずるずる。」
「・・・・・・・・・・・・・・。あの、かん・・・。」
「ずるずる。」
「艦長は・・・。」
「ずるずる。」
「えっと・・・・・・。」
「ずるずる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ずるずる・・ずぅー。」
「ふぅ。どうも、ごちそうさまでした。・・・ハーリー君、食欲無いんですか?あんまり食事が進んでませんが。」
「あ・・・いえ。」
「そうですか?それじゃあお先に失礼しますね。」
「あ、お疲れ様です・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぷくく。」
「僕、艦長に嫌われてるんですかねッ!!」
「そ、そんなことは無いと思うぞ。少なくとも。」
「そ、そうですよね。だったら食事に誘っても来てくれませんよね?」
「まぁ、しかしお前としちゃ断られたほうがまだ良かったかもなぁ。」
「え・・・?なんでですか?」
「だって、そうすりゃ少なくても意識してるって事だろ?
それが平気でOKされるって事は全然、全く、これっぽっちも眼中に無いってことだもんなぁ。」
「う・・・・・。」
「あ・・・。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーんっ!」
今日も平和に一日が過ぎていくナデシコBだった。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一人を除いて。